「江戸時代女の旅」
神崎 宣武先生の
講義をお聞きして
岡山支部 池田須美子
現代女性は、生活の安定のもと、交
通機関カード・携帯電話等々の発達で
自由に国内外へと旅を楽しめる時代と
なりましたが、江戸時代の女性がどの
ような旅をしていたのか、講義を楽し
みにしておりました。
人類には「旅欲」というものがあ、り
同じ場所で同じ事をするのは苦痛で、
どこかに行って発散したいという欲望
があるそうです。
江戸時代も百五十年間に渡り生活が
安定していた時代で、身分制度や年貢
等により生活の困窮はありましたが、
ホンネの庶民の生活では、農民も農閑
期に得た副収入は自分の収入になり、
それを使って村芝居を鑑賞したり、旅
に出たりすることができたそうです。
だたし、私用の旅は幕府の禁足や倹
約令に反するのでタテマエはあくまで
も天下泰平と五穀豊穣を祈願する「寺
社詣で」ということでしたが、実は旅
を楽しんでいたんです。
旅に現金を持ち歩くのは物騒なので
為替という制度ができ、手続きに必要な
印鑑が作られ、 女性の旅は危険なので、
男衆をボディガード兼荷物持ち兼ガイ
ド・宿の交渉人として雇い、また「講」
を代表して参拝した証としておみや
げができ、それを宅配してくれる荷継
問屋も女性の旅の助けとなったそうで
す。
なんと当時も今と変わらぬ旅の様子
に驚き、私達同様ホンネとタテマエも
うまく使って旅を楽しんでいる女性達
の姿が目に浮かび、なぜかホッとした
安堵感を受けました。
最後に先生からご紹介いただいた、
田辺聖子さんの小説「姥ざかり花の旅
笠」は商家の妻の道中記を基にしたも
のだそうです。今回先生の講義を聞け
なかった皆様もぜひ読んでみられては
いかがでしょうか。
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